君と半分
『カンちゃん、名前つけてな』


『丸々でいいやん』



『丸々?変な名前やんなぁ。可哀想に。丸々やて』


『決定したんや?(笑)』 


それから毎日おいらとケンは二人で丸々に芸を仕込んでいった。



『おて、おかわり』



『ハッハッ』



たまに出来るようになった。五回に一回くらいだ。


肝心な人に見せる時に限って出来なくてハッハッと息を荒らけてお座りをする。


『馬鹿犬〜!』


笑って、追い掛けると丸々は逃げた。


鬼ごっこは人数が増えて、鬼はいつも丸々だった。


おいら達はそうやって一年の月日を過ごした。
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