【短】雨宮さん家の大型犬


「しーちゃん、お腹空いたの?」

「…うん」

「お昼ゴハンは?」

「あこちゃんと一緒に食べよーと思ってたから…」


現在、午後2時過ぎ。

休日である今日は、バイト入ってるよってあれだけ言ったのに…あぁ…ほんとにお馬鹿なわんこ。


「そっか。じゃあ…今から何か作るよ。何がいーい?」

「ナポリタン!」

「はいはい、じゃあ大人しく待っててね」


ぽふぽふ

ふわふわの髪をそうやって撫でてから、冷蔵庫を開けようとすると、ずっしりと私の肩に乗ってくる静人。


「しーちゃん?重いんだけど…?」

「ねぇ、あこちゃん?今日さ、ずぅーっとこうやって髪、アップにしてたの?」


ちゅ

「ちょ、しーちゃん?くすぐったいってば」

「質問に答えてよー?ねぇねぇ?」

「してました!だって暑いし。バイトじゃ邪魔だし」

「それ、だめー!」


ちゅ、ちゅ、


「んんっ…くすぐったいってば!もう!なんで…よー?」

「あこちゃんのうなじは、俺のもんだし!」


何言ってんの、と返そうとして…嬉しくて胸がドキドキしている自分に気付く。

だから、私はもう一度ふわふわの髪を撫でて、


「しーちゃん?私のうなじだけ?しーちゃんのものって?」


と、いたずらっぽく聞いてみる。

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