孤独であった少女に愛情を
「え、鷹城家の跡取り?!」

秘書の人の声が少しだけ聞こえてきた後、
母の驚く声とともにそこの場は静まり返った。

私は電話越しに聞こえてきた言葉に驚愕する。

『鷹城家』

それは、A家なんて比べものにならない

日本で一二を争う名家中の名家。

先生がそんなところの次期当主?

私は衝撃的な事実に驚きながらも、あっちがどうなっているのかと気になり電話に耳を傾ける。

「なんと…!

鷹城家のお坊ちゃんでしたか。

そうとは知らず、それはそれは失礼を致しました。

何用で鷹城家のお坊ちゃんがこのような所に。」

祖母は正気を取り戻し、落ち着いた声でそう言った。

「娘さんを、少しの間預からせていただきたいたいのです。」

「預かる、ですか…。何故、あの子を?」

「アザがありました。

Aさんの妹が亡くなった時にあなたがAさんに言ったことも、聞きました。」

せんせい。

「あの子はなって事を。」

「勘違いなさらないでください。Aさんは話そうとはしませんでしたが、私がアザに気づき問い詰めたのです。」

「Aはなんと?」

祖母の声が急に弱くなる。

「なにも。

ただ、自分はこの家には都合の悪いものだ、と。

そう目に涙を溜めて言っていました。

仕方のない事だと。」

私は電話を持たない手の方で胸をギュッと押さえた。

「Aが、そんな事を…。」

祖母の力無い声が聞こえてきた。

「はい。」

「そうですか。」

沈黙が流れ、再び祖母が話を始めた。

「Aなら分かってくれると思ったのです。

Aなら、許してくれると。」
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