孤独であった少女に愛情を
先生の話はこうだった。

「私の部屋には、入ってはダメですよ。

困ったことがあったらすぐに言ってください。

学校では、一緒に暮らしていることは秘密です。

ちなみに2つ目は絶対に守ってくださいね。」

先生はそう言うとニコッと笑った。

「3つ目の方が大事な気がするのですが。」

私が先生にそう言うと先生は驚くことを口にした。

「それは大丈夫です。

知られても、Aさんは私のいいなずけとういうことになっていますから。」

『いいなずけ?』

なんともあっさりと出たその言葉に私は固まった。

「一緒に暮らすための口実です。」

そして先生は、「実は、」と昨日祖母とそう言う約束をしたのだという説明をしてくれた。
そうすることでお互いに利害が一致するだろうと。

その説明で私は、
昨日電話が切れた後、先生が車にくるのが妙に遅かった理由がやっとわかった。

「ごめんなさい。」

私はたまらずそう言った。

「どうして謝るんですか?」

「だって私、先生に迷惑しかかけてない。」

私は床を見つめそう言った。

急に泣いて仕事の邪魔をしたり、
家に住まわせてもらったり
挙句そのためにいいなずけにまで

ただ担任だというだけの関係であるだけなのに。

「いいんですよ。

もっとかけて大丈夫です。

私のいいなずけなんですから、Aさんは。」

先生は私の頭を撫でてそう言った。

「いいなずけは口実なんじゃ。」

私が顔を上げてそう言うと、先生はとぼけたように
「そうでしたね。」
と言って立ち上がり、部屋に荷物を取りに行った。
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