早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
「デザイナー志望なら、久礼社長の下で働くのはとっても有意義だと思うわ。あの人のデザインも仕事ぶりも、勉強になることばかりだから」


尚くんの話が出てきてドキリとした。普通なら、ただの尊敬の言葉だと受け取れるだろうけど、私はいろいろと勘繰ってしまう。

どうしよう、聞きたい。聞いてもいいかな。十代の恋愛に関する好奇心ということで大目に見てもらえるかな。

知りたい欲求が膨れ上がり、フォークを置いた私は思い切って口を開く。


「……あの、さっきお茶をお持ちしたときに、おふたりが話す様子を見ていて思ったんですが、社長とは以前から親しいんですか?」


正直に、かつ言葉を選んで問いかけると、未和子さんは大きな目をしばたたかせた。

そして、少し困ったように笑う。「そうね、親しいとは言えないけど……」と歯切れ悪く返したあと、私をまっすぐな視線で捉えた。


「付き合ってたの、私たち。二年前まで」


──ああ、やっぱり。予想していた通りの、あまり聞きたくなかった答え。

ひとまず「そうだったんですか」と、驚いたふうに返した。関係がはっきりしてスッキリしたが、それ以上に落ち込む。
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