【短】言葉にならない
きっと、この痛みは。
あたしの身体から出て行くことはなく、生涯を通して感じていかなければならないもので。
何よりも深く、この身に刻んで…これから歩んでいくしか術はないから。
「オレも、佳菜子さんが大好きだよ…」
いなくならないで。
消えたりしないで。
それが、我侭だとしても。
醜いエゴの塊でしかなくたって。
「佳菜子さんは一人じゃないよ。…オレが、傍にいる…ずっと…ずっと……」
微かに震えている、あたしを抱き締めたままのハルの腕。
零れる涙はけして綺麗なものじゃないけれど。
あたしは、貴方の胸で何度でも生まれ変わりたいと願うから。