1億のキス 【LOVE♡ドロップス企画参加作品】



「……ダメだよ。」



『ダメ』だと言われると意地をはるのが人間の心理で、それに従うように枢の口はズルくて甘い言葉で囁き導く。



「深く考えなくていいよ。
気持ちまでくれなくていい。
百合さんが会いたい時にだけ会おう?
嫌になったり苦しい想いをしたら、その時はやめればいい。

……俺は百合の笑った顔が見たい。
寂しさを一緒に埋めさせてよ。
……な?」



百合は溢れて止まらない涙を数的こぼし小さく頷き、抱きしめた枢を受け入れるようにゆっくりと背中に両手を当て、肩に頭を甘えるようにして預けた。







……軽い気持ちだった。

本気になったってどうせ最後は見えてるだろ?
変な嫉妬も束縛もされない、楽で自由な関係。



俺と百合にとって、1番いい方法。
……この時はそう思ってた。














< 12 / 37 >

この作品をシェア

pagetop