キミの声を聞かせて
先生と電話
先生が帰ってから40分後電話が鳴った。
「...もしもし」
『よっ。雷怖がってる?』
「今は鳴ってないんで大丈夫です」
『そっかそっか』
先生は楽しそうに返事をする。
「なんで電話するなんて言ったんですか?」
『遠野ともう少し話したかったからな。まぁ眠たくなったら勝手に寝て良いから』
「...はい」
きっと先生は私が一人で雷に怖がらないように電話してくれたのか...。突拍子もないことを言うけどこの先生は本当に優しい人だと思った。
「先生はどこに住んでるんですか?」
『サイレントマンションの105号室。来ても良いよ?』
「行きませんよ」
サイレントマンションは私の家から車で30分ほどの位置にあるマンションだ。
「先生はどうして先生になったんですか?」
『ん?質問責めだねぇ〜』
「べ、別に答えてくれなくても良いですけど」
沈黙になるのが嫌だったため質問を並べてしまっていた。
『父親が教師だったんだよ。それに憧れて俺も教師になろうと思ったんだ』
「良い先生なんですね」
『うん。とても』
先生の声が少し暗くなったのは気のせいだろうか...。
「あ、部活とかは何やってたんですか?」
『中学の時バスケ部だったよ』
「へーカッコいい。試合とかも出てたんですか?」
『まぁうん。でも2年からあまり行かなくなって途中でやめちゃった』
「え、どうしてですか?」
『...練習がキツすぎてね。それに友達と遊びたかったし』
なんというかいつもサボり気味な先生らしい理由だった。
「先生って昔からそんな感じっぽいですよね」
『そんな感じって?』
「ちゃらんぽらんで色んなことてきとうにやってる感じ」
『なんか言葉に毒ないー?』
「そんなことないですよ」
先生との会話は楽しかった。いつのまにか雷も鳴り止み、私は安心していた。
「なんかこんな時間に先生と話してるなんて不思議な気持ちです」
『そうだなぁ。早く寝ないとお肌のシンデレラタイム終わっちゃうけど大丈夫か?』
「寝ちゃっていいんですか?」
『んー、ダメって言いたいけど子供はもう寝る時間だからなぁ』
「子供扱いしないで下さい」
『高校生なんてまだガキ』
「そのガキに好きなんて言ったのはどこの誰ですか?」
『はーい、ここの俺です』
先生はどんな時でも私を好きなことを否定しなかった。
「先生はなんで...」
『ん?』
どうして私を好きだと言ったのか...。その理由は何回聞いてもちゃんと答えてくれなかった。今聞いてもまたてきとうなことを言ってはぐらかされるだけだろう。
「ううん。なんでもない。早く雨止むといいね」
『あぁ、そうだな』
「私星見るの好きなんだぁ」
『綺麗だもんな』
「うん」
真っ黒な夜空にキラキラ光る星たち。その光景がとても綺麗で好きだった。
その時思い浮かべていたのはあの日の夜空。
「早く...また星空見たいなぁ...」
私は目を閉じた。そして流れる一粒の涙。そのまま私は夢の世界へと行ったのだった。

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