キミの声を聞かせて
「ん...」
どれくらい寝てしまっていたのだろう。私が体を起こそうとした時ちょうど先生も目覚めた。
「あれ...遠野?」
「あ、起きた?」
「え、え!?お前何やってんの?」
「お見舞いに来てお粥出来ましたって言いに来たらなんかこうなりました」
「えぇー...。なんも覚えてないごめん」
「まぁ寝てたし仕方ないですよ。おかゆ食べれます?」
「あぁ」
「じゃあ温めてきますね」
そして私は鍋の下へ行く。時間を見ると7時だった。
「これよそったら私帰りますね」
「あぁありがとう」
温めたおかゆをお椀によそう。そして私は先生に持っていく。
「はい。どうぞ」
「ありがとう」
先生は私の作ったおかゆを口に運ぶ。
「どうですか?」
「ん...美味い」
「良かったぁ」
家族以外の人にお菓子以外に作ったものを食べさせたことがなかったため安心した。先生は幸せそうに食べてくれている。
「それじゃあ私帰りますね」
「遠野」
「はい?」
「男の部屋に不用意に入っちゃダメだよ」
「...先生以外の男の人のところなんて行きませんよ」
「ふーん。なら良いけど」
「そ、それじゃあ!」
私は駆け足で先生の部屋から出た。
「心配して部屋まで押しかけるなんて先生にしかしないよ...」
顔が熱い。先生の風邪がうつった。そうに違いない。
先生のことが好きだからだと心の奥で叫んでいた声に私は聞こえないフリをしていた。
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