熱情バカンス~御曹司の赤ちゃんを身ごもりました~
青年と、それから彼の友人らしい男性が運転するレトロな外観のツクツクに乗り、連れてこられたのは海岸に面した高級ホテル。
辺りはすっかり暗くなっていたけれど、宮殿のようなホテルの建物はライトアップされ、荘厳な輝きを放っていた。
そして、私が来るのを待ち受けていたかのように、にっくき南雲梗一が誰もいないプールサイドを通って悠々と歩いてくるのが見えた。
アトリエに来た時よりはラフな格好で、はだけたシャツからのぞく暑い胸板にどきりとした私は、思わず目をそらした。
「ようこそ、お姫様」
目の前で立ち止まった南雲は、わざとらしいほど柔らかな口調で言った。私は彼を睨みつけ、次々に文句をぶつける。
「他人を使って拉致まがいのことをしておいて、よくもまぁ〝お姫様〟だなんて言えたわね。本当にそう思ってるなら、あなたにも紳士的な振る舞いをして欲しいものだわ」
「紳士的に誘ったら来てくれたのか?」
「……いいえ」
私は少し考えて、ぷいっとそっぽを向く。