熱情バカンス~御曹司の赤ちゃんを身ごもりました~

「SHIORIって、つい最近新作を発表したんですよね? 本当はそれをプレゼントできたらよかったのですがさすがに無理で……。子ども騙しなチョコレートで申し訳ないです」

「新作……?」

俺は目の色を変え、矢継ぎ早にサーラに尋ねた。

「いつですか? 詩織は、どんな作品を?」

「えっ? 確か、一週間ほど前です。いつものように蝶の絵で……」

一週間前……。俺が入院していた辺りだ。あの前後は気分も塞ぎがちで、詩織の居場所に関する手がかりを探す気力もなかった。

だからって、そんな大事な情報を見逃していたのか……。

しかし、過去を振り返っている場合じゃない。新作の絵をたどれば、必ず詩織の居場所について、なにかヒントがあるはずだ。

「ありがとう、サーラ。このチョコレートのおかげで道が開けそうです」

「お、お役に立てたならよかったです。……ところでそのチョコレート、ビジネスというより私の個人的な感情で、その……」

急にモジモジし始めたサーラを不思議に思いつつ、俺はとうとう詩織に会える手がかりをつかんだ喜びに浸る。そして、恩人であるサーラには本当のことを教えておこうと、ゆっくり口を開いた。



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