ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています
霧雨のような雨のある日。
リラの検査時間に病室の掃除をしていると、玄関のベルが来客を知らせた。
レオンが帰って来たのかもしれない。
箒を置き無意識に早足になりながら玄関に向かう。
心が浮き立ち警戒なく玄関の扉を開いた私は、思いがけない光景に動きを止めた。
見しらぬ女性が玄関前に佇んでいたのだ。
女性は私と同年か少し下に見えた。
私と同じ金髪だけどその色味は濃く豪奢だ。小さな顔に大きな琥珀色の瞳。
あのレオンと並んでも遜色ない気品あふれる美貌の持ち主だ。
こんな綺麗な女性、見たことがない。当然面識はなく戸惑っていると、女性の後ろに控えていた男性が口を開いた。
「イリス・ルメールさんですね」
男性は長身で隙のない張り詰めた空気を醸し出していた。腰に剣を帯びているので女性の護衛なのかもしれない。
彼の口調は厳しく、私は少し不安を感じながら頷いた。
「そうですが……」
するとそれまで黙っていた女性が初めて口を開いた。
「わたくしは、ブロウテン公爵の長女、オリーヴィアと申します」
「え……公爵、様?」
どうして公爵家の姫君がこんなところに?
混乱しながらも慌てて腰を折り頭を下げた。
ラヴァンディエの社交界では身分が低い者から上の者へ気安く話しかけてはならない決まりがある。
下の者は上の者からの言葉がかかるのをただ待つのだ。
私は社交界に出る機会は無かったけれど、マナーの先生にいざという時に間違えないようにと教わっていた。
リラの検査時間に病室の掃除をしていると、玄関のベルが来客を知らせた。
レオンが帰って来たのかもしれない。
箒を置き無意識に早足になりながら玄関に向かう。
心が浮き立ち警戒なく玄関の扉を開いた私は、思いがけない光景に動きを止めた。
見しらぬ女性が玄関前に佇んでいたのだ。
女性は私と同年か少し下に見えた。
私と同じ金髪だけどその色味は濃く豪奢だ。小さな顔に大きな琥珀色の瞳。
あのレオンと並んでも遜色ない気品あふれる美貌の持ち主だ。
こんな綺麗な女性、見たことがない。当然面識はなく戸惑っていると、女性の後ろに控えていた男性が口を開いた。
「イリス・ルメールさんですね」
男性は長身で隙のない張り詰めた空気を醸し出していた。腰に剣を帯びているので女性の護衛なのかもしれない。
彼の口調は厳しく、私は少し不安を感じながら頷いた。
「そうですが……」
するとそれまで黙っていた女性が初めて口を開いた。
「わたくしは、ブロウテン公爵の長女、オリーヴィアと申します」
「え……公爵、様?」
どうして公爵家の姫君がこんなところに?
混乱しながらも慌てて腰を折り頭を下げた。
ラヴァンディエの社交界では身分が低い者から上の者へ気安く話しかけてはならない決まりがある。
下の者は上の者からの言葉がかかるのをただ待つのだ。
私は社交界に出る機会は無かったけれど、マナーの先生にいざという時に間違えないようにと教わっていた。