まさお
そう言って、角の生えた羊_よく見るとタレ目_は
器用に箸を使って卵焼きをぱくりと口に放り込む。
もぐもぐと可愛らしく頬を動かすので、えい、ままよとまさおもお浸しを放り込んだ。
醤油の旨味の中にじんわりとした葉物の苦味が広がって

「うまい」
思わず声に出た。
羊はにっこりと人間のように目を細めて笑う。
(よくよく見ると結構可愛い。)
まさおが夢中に飯をかきこんでいると、

「お風呂いただきました」

風呂場の方からぬっと子羊が手ぬぐいを頭に乗せて現れた。母親らしき羊が近づいて、濡れた毛並みをわしゃわしゃと拭き始める。

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