お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。


「はぁ。サーシャがここにいてくれたら、私を庇ってお母様をなだめてくれるのに…」


「サーシャ様の優しさに甘えるおつもりですか?ダメですよ。サーシャ様はパーティーにご出席されているのですからね。助けを求めても無駄です。」


ぴしゃり、と言い放つアレン。

彼の言う通り、今日、サーシャは我が国の王子であるヴィクトルが主催の社交パーティーに参加している。

今朝、綺麗なドレスに身を包んだサーシャが乗り込む馬車を、ご機嫌な母を筆頭に、家族総出で見送ったばかりだ。


「それにしても、サーシャが王子の婚約者に選ばれるなんて夢のようよ。さすが私の自慢の妹…!サーシャから話を聞いた時、自分のことのように飛び跳ねちゃったわ。」


「確か、政略結婚が嫌で城を飛び出してきた王子とバッタリ出会って、城の兵を撒いた時にできた傷をサーシャ様が手当てしたのが馴れ初めなんですよね。」


「そうそう。ヴィクトル様の一目惚れだって。本当、運命の出会いなんてどこに転がってるか分からないんだなあって思っちゃった。」


サーシャは、不満や不平を言わない天使だ。真面目で大人しくて、いつもニコニコ笑っているような自慢の妹。

だからこそ、幸せになって欲しいと思っていた。

なので、王子の結婚相手に選ばれたことは心から嬉しいし、サーシャを選んだヴィクトル様の目は確かであると叫びたい。


お母様のお叱りの言葉に、“ニナ。貴方も結婚は他人事じゃないんですからね!素敵な旦那様を見つけるためには、いつまでも子どもでいてはダメなのよ?!”が追加されたのがたまにキズだが。

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