潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
「会いたいのは私もなのに素直になれなくて。尚…越智さんの仕事が心配で、そっちを優先するべきじゃないかなと思ったから」


だって、自分ならもしかするとそうするかな…と思うから。
彼氏よりも仕事を先にして、後で取り繕えばいい…と思うかもしれないから。


(こんなんだから私、結局彼氏に二股とか平気でされるんだ…)


過去の失敗を引き合いに出して落ち込む。
あの時はこうやって、素直に自分の気持ちを口に出すこともしなかったけど__。



「…あのね」


彼はそう言うと少し私の方へ寄って来ながら、伸ばしそうになった腕を下ろして指先を握った。


「一つ言っておくけど、此処に研修に来ている間は何より百瀬さんとの時間が優先だから。プライベートでは当然だけど、それだけじゃないんだ、と先ずは知っていて欲しい」


それでなくても残り二日を前に午後は早退しないといけない。それが悔しくて、どうにかならないもんか、とギリギリまで粘っていたから遅れた部分もある…と正直に話してくれた。



「越智さんて…」


< 130 / 307 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop