潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
「百瀬さんが俺の仕事を思いやってくれたのは分かってるよ。俺が焦ってこっちの仕事を優先する必要はないし、本来の仕事に専念した方がいいと考えてくれたことにも感謝をしてる。
だけど、俺は君と同じ空間で仕事がしたくて此処にきてるところもあるんだ。君の顔を見て頑張ってる姿を見て、自分の励みにもしたいと思っている。…だから、短時間になってもいいから同じ場所に居たいと思った。君の心配りは有難いけど、少しでもいいから近くに居て過ごしたいんだ」


こんなセリフ、オフィスで言うべきじゃないな…と照れくさがる彼の様子に胸が鳴る。
私だって彼と同じ空間で仕事がいつでもしたいし、常に一緒に居れたら、それだけできっと癒される。


今だって仕事がもう始まってるのにこんな場所にいる。
彼と顔を合わせる時間が残り少ないことを改めて知って、ショックも感じていて……。



「ごめんなさい」


やっと素直になれて頭を項垂れた。
無理をしてでも此処へ焦って来てくれたことが嬉しくて、彼に触れたくなった手をぎゅっと握りしめる。


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