潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
「あんなに仕事熱心なお母様の元でお育ちなら、貴女もさぞかし一人で寂しい思いもされたでしょうね。お父様もご不在の様子でしたし、我慢強いお子さんだったんですね」

「えっ!…いえ、その…」


言われる程でもないですよ、と言っていいのかどうか。

単に一人に慣れてしまい、寂しいとかつまらないとか、そういう感情を何処かに置き忘れてしまうような子供時代だっただけだ。



「香純さんも仕事を頑張っていると尚行からは聞いておりますけど」


さっと話を切り替え、目線を彼に向けるお祖父さん。

チラッと自分も向けると尚行さんは微笑み返してきて、お祖父さんに向かい、そうですよ…と代わって返事をしてくれた。


「彼女もとても仕事熱心な人なんです。単純に仕事が捌けるだけじゃなくて、常に顧客の後ろ側にいる消費者のことを考えているような女性です」


大袈裟に褒められ、益々どんな顔をしていいのか分からずオタオタする。
尚行さんはそんな私の方に目線を向け直すと、お祖父さん…と声をかけ、私に寄ってきて肩を抱いた。

途端に心臓が跳ね上がり、これ以上緊張させるのはやめて、と思ったが___


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