潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
「本当に心臓に悪かった…」
まだバクバクしてる…と胸を撫でながら言うと、彼は運転席から手を伸ばしてこようとする。
「どれどれ」
触ろうとするからペチッと叩き、こんな場所でやめて、と訴えた。
「どうして、もうお母さんにもお祖父さんからも許されたのに」
何をしてもいいだろ、と言うが、とてもそんな気分じゃない。
「…私、本当にこんなままでいいのかなって思うよ。確かに仕事は好きだから頑張れるけど、家事は全くと言っていい程苦手よ?こんな私で尚行さんは呆れない?いつかまた、前の彼のように………んっ!」
急に唇が塞がれてものが言えない。
彼が赤信号の隙にキスをしてきて、驚いて全身が固まった。
「………他の男のことなんて、話すなよ」
キスをしている唇を離すとそう言う彼。
若干厳しい眼差しで見つめてきたかと思うと目尻を下げ、今の香純になったのは、お父さんの溺愛があった末だろ…と言ってきた。
「親の愛情が生んだ結果だろ。そこまで愛されて育っているからこそ、その愛を周りにも返したいと香純が思うんだろ」