潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
「だけど、私と違ってお母さんはずっと寂しかったと思うよ。だって、好きな人と離れて暮らしてたんだもん」


そう答えると、ニコッと笑って俺の手を握る。
こっちが驚いて振り向いても離さず、両親を見遣り……。


「私は、この手をずっと離さないでいようと思う。だから、二人にもこれからはそうして生きて欲しい」


娘からのお願い…と言うと、それじゃ…とドアを開ける彼女。

香純の母親は参った…という感じで手を振り、父親はガクッと肩を落としたように背中を見つめ、「気をつけろよ」と元気のない声をかけて見送られた。


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