潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
「味はあんまり覚えてないけど、今日の料理を頑張って作ったのは認める」

「あんまり覚えてないというのはどういうの!?」


やっぱり酷い…と香純は膨れっ面を続けるが……。



「な、尚行さんっ…!」


ビクッとして驚いた香純は、周りをキョロキョロ確かめながら、歩道に人が…と狼狽える。



「……俺、もう限界」

「え?」

「今すぐ香純を抱きたい」

「はぁ?」

「俺のマンションに行こう。いや、近くのホテルでもいい」

「ちょっと尚行さん……っ!」


んんん…!と息を急に止められ、香純は苦しそうだ。
俺が居ても立っても居られず、彼女の唇を奪ってしまった所為だ。


口腔内で舌を暴れさせると、香純は苦しそうに踠きながらも、ぎゅっと服の袖を握りしめてくる。
俺は、そんな彼女の唇を解放すると耳朶に吸い付いて、その鼓膜に向いて語りかけた。



「……あんなエプロン姿なんて見せて。その上ハートマークを描いたり、手を握って離さないとか宣言するし…香純は今日、俺を煽り過ぎ」


おかげで料理の味どころではなかった…と囁くと、顔を真っ赤に染める彼女と視線がぶつかる。



< 255 / 307 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop