潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
「ほら、またそうやって煽ってくるだろ」


だからもう我慢できない、とブレーキを外す。
走りだす車内では、香純がずっと黙ったままでいて、手で唇を覆い、照れ隠しを続けていた。



「今夜はあの卵に包まれたチキンライスみたいに、香純を包み込んで離さないからな」


俺の熱に溶かされて、身も心も蕩けさせてやる……と彼女の入力していた言葉を引用する。
彼女はそれを聞くと更に体を硬直させ、目線を横に背けながら、困ったように背中を丸める。



「覚悟しとけよ」


そう言うと、お手柔らかに…と遠慮する声が戻る。
それにも俺は、誰が、と否定し、一目散に自分が住むマンションへと車を飛ばした。



いつか、あの部屋が二人で住む場所になればいいな…と心の中で考えた。

それはきっと、そう遠い未来ではない筈だと確信して、真っ直ぐと視線を前に向けた___。




END
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