潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
給湯室の流しには、さっき届いたと見せられたチョコレートの箱が封を切られた状態で置かれてあった。
予想通りに新人社員が一個食べた後の外装がゴミ箱に捨てられていて、それを見つめながら、自分もこれ一つくらいなら食べれるかも…と思って手にした。


ピンクの細長い外装を開くと、ふわりと甘いストロベリーの香りが漂う。
ぱっと見、パフとナッツとベリーが練りこんであるチョコレートだと気づき、パクッと噛み切り、その味と感触を楽しみながら飲み込んだ。



「甘い…」


美味しい…と呟くと少し涙が溢れる。
こんな時にもチョコは美味しくて優しい味なんだな、と思いながら食べきり、越智さんにお礼のメールを送った。



『お疲れ様です。ハピネス・マザーズフードの百瀬です。本日は美味しいチョコレートを送って頂き有難うこざいました。優しい味と香りで心も頭も癒されています。』


いつもお心遣いすみません…と締め括ると、程なくして返事が入り……。


『喜んで頂いて光栄です。早々の感想、こちらも喜んでいます』


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