潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
「相手にはもう母親の方から話がいっている筈だ」
「お父さん!」
「だから、まだ『お父さん』と呼ぶのは気が早い!」
さっさとそれをしまい給え、と指差す言葉の通りにファイルケースへ婚姻届を入れ直し、俺は深く頭を下げて、「ありがとうございます」とお礼を言った。
「礼を言うのはこっちの方だ」
香純の父親は両手の拳を合わせて一つにし、ぎゅっと力を込めながら話し続ける。
「あんな不出来で情けないところがある娘を嫁にしてくれようとしているんだ。親としては、これ以上に有難いことはない」
そう言うと、ぐっと何かが込み上げてきたようで、ぐずっと鼻を鳴らした。
「香純は家事は苦手だが気立てはいいと俺は思う。人一倍我慢強くて忍耐力もあり、愚痴や不平もこぼさず、本当に真面目で偉いと俺は考えている」
「……ええ。そうですね」
じっくり受け止めて頷くと相手はこっちを見つめ、唇を震わせながらこう言った。
「そんな娘だから、それなりにいろんなストレスを抱え込んでるだろうと思うんだよ。
だけど、それを君が半分でもいいから請け負ってやって、あの子に呼吸し易い環境を整えてくれたらいいなと思っている」
「お父さん!」
「だから、まだ『お父さん』と呼ぶのは気が早い!」
さっさとそれをしまい給え、と指差す言葉の通りにファイルケースへ婚姻届を入れ直し、俺は深く頭を下げて、「ありがとうございます」とお礼を言った。
「礼を言うのはこっちの方だ」
香純の父親は両手の拳を合わせて一つにし、ぎゅっと力を込めながら話し続ける。
「あんな不出来で情けないところがある娘を嫁にしてくれようとしているんだ。親としては、これ以上に有難いことはない」
そう言うと、ぐっと何かが込み上げてきたようで、ぐずっと鼻を鳴らした。
「香純は家事は苦手だが気立てはいいと俺は思う。人一倍我慢強くて忍耐力もあり、愚痴や不平もこぼさず、本当に真面目で偉いと俺は考えている」
「……ええ。そうですね」
じっくり受け止めて頷くと相手はこっちを見つめ、唇を震わせながらこう言った。
「そんな娘だから、それなりにいろんなストレスを抱え込んでるだろうと思うんだよ。
だけど、それを君が半分でもいいから請け負ってやって、あの子に呼吸し易い環境を整えてくれたらいいなと思っている」