潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
彼にしては、きっと喜んで笑っているつもりなんだろうけど、その笑みはぎこちなくて、もう少し努力を要するな…と胸の中で判断した。

そして、仕事を終えてオフィスの外へ出た。
彼とは社員通用口で落ち合い、何処へ行こうか…と話し合っていると。


「一杯だけでいいので、アルコールが飲めるお店に行ってもいいですか?今日一日緊張していて、クタクタなんです」


社外へ出ると、彼は意外にも喋った。
しかも、余程その緊張の度合いが高かったのか、少し照れくさそうな表情も見せていて__。


「いいよ」


クスッと思わず顔を綻ばせて応じる。
自分も慣れない指導に草臥れた感もあったし、一杯くらいアルコールを呷り、智司のこともさっさと忘れてしまいたいと考えた。


私達は、彼が勧める日本料理のお店へと向かった。
でも、その途中で、私は見たくもない二人連れを見かけてしまったんだ……。


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