潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
越智さんは、照れくさそうな笑みを浮かべると小さく頷きを返してきた。
そして、椅子を引くとまた真剣な顔でホームページを開き、午前中と同じように黙々とメモを取って感想を書き綴ってくれた__。



終業時間から三十分が過ぎた頃、ようやく自分の仕事の段取りが着いた。

私は背筋を伸ばすようにしながら両手を組み、うーんと言いながら上へと挙げる。
そのまま首を左右に曲げると、凝り固まった関節がぐきっと鈍い音を立て、それを耳にしながら、よく働いたなぁーと感心して腕を下ろしてから前を向いた。


向かい側の席では、越智さんが目線をこっちに向けていて、それに気づくとカッと顔の温度が熱くなるのを覚えた。
無言で、「そろそろ退社しますか?」と訊かれているような気配も感じ、ちらっと同じ島の社員に目配せしながら、カタン…と席を立ち上がった。


「越智さんはもう上がられてもいいですよ。皆も今している仕事が済んだら上がって下さい」


私は今日は用事があるのでお先に帰ります…と言うと、「え!?」といった顔を向けられ、ビクッとしながらも、そんなに珍しいこと?と思ってしまう。


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