命令恋愛
☆☆☆

ホームルームが始まる5分前のチャイムが鳴り響き、あたしとチヒロはC組に戻ってきていた。


チヒロはまだ登校してきていないし、姿の見えない。


「チヒロ、今日は休みなのかな? 連絡は取ってみた?」


「さっきメッセージを送ったけど、既読が付かないの」


あたしはそう言ってため息を吐き出した。


あの写真を撮ったのはチヒロで間違いないだろう。


黒板に貼ったのもチヒロかもしれない。


そのまま早退して家に帰った可能性がある。


「そんなに急ぎの用事なの?」


香菜美は首をかしげてそう聞いて来た。


「うん……ちょっとね」


本当のことなんて言えるわけがなくて、あたしは半端な返事で頷くしかなかった。
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