命令恋愛
☆☆☆

チヒロは明らかにあたしを怨んでいる。


けれど、死ぬのは違うと言いたそうだった。


チヒロの本心はわからないけれど……。


「優奈、どこに行ってたの!?」


C組へ戻ると、香菜美が駆け寄って来た。


「ごめん。ちょっとね」


そう言って誤魔化し、曖昧に笑う。


「心配したんだよ。またキャラクターから命令されたのかと思って」


香菜美にそう言われて一気に現実に引き戻された。


そうだ、今日はまだ命令を受けていない。


これからということだ。


「香菜美、あたしとにかくこのゲームを攻略してみることにする」


あたしはスマホを取り出してそう言った。

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