はずむ恋~見つめて、触れて、ときめく~
「はい、触れてください」

「うん。でも、ちょっと待って」


支配人は濃厚なキスで体全体がふわふわになっている私をそっと椅子に座らせてから、ルームサービスの食器の片付けを依頼した。

その後、お互いシャワーを浴びてからベッドの上で見つめ合う。中断しても、一度上がった熱は冷めきらない。

彼の手が私に触れるたびに、体温は再び上がっていく。


「藍果」

「んっ、支配人……」

「玲司って、呼んで」

「玲司さん。あ……」


私の呼ぶ声にご満悦な笑みを浮かべた彼は、私の胸に顔を埋めた。温かい唇が、熱い舌が体の隅々まで触れていく。

触れられる部分ひとつひとつに体は敏感に反応して、身をよじらせた。

そして微かな痛みとともに、ひとつに溶け合う喜びを感じる。


「玲司さん、好き……」

「うん」


優しい声に安心して、上下する玲司さんの胸に頭を預け、目を閉じた。

気持ちが通じあって、体を重ねる……なんて幸せなんだろう。私はふわふわと浮かぶ雲に乗って、笑っている夢を見た。

夢の中の私も幸せそうだった。
< 104 / 168 >

この作品をシェア

pagetop