はずむ恋~見つめて、触れて、ときめく~
「家庭的な味って、安心出来る感じでいいね。うちは母親がほとんど料理しない人だから、こういうのにすごい憧れてた」

「そうですか。でも、レストランとかプロの作る人の味には敵いませんよ」

「プロの作る料理よりも、愛情のこもった料理の方が格別に美味しい」

「確かに愛情込めて、挽き肉をこねました」

「うん、ありがとう」


食べてくれる人を考えながら、作る料理は楽しい。それを美味しいと言ってくれたら、最高に嬉しい。

私たちは笑い合いながら、食べた。食後のコーヒーはいつも玲司さんが淹れてくれる。彼なりのこだわりがあるようで、この部屋には何種類かの豆が常備されていた。


「まずは藍果のご両親に挨拶しに行こうと思うけど」

「はい。父の都合を聞いてきますね」


私の両親の了承を得るよりも、玲司さんの両親からの了承を得る方が困難だろうから、そちらを先にと考えたが、玲司さんも社長である父親も多忙で時間が合わない。

それで、私の家からとなった。普通のサラリーマンである私の父親の休日は、ほとんどが土日ではあるが、現在単身赴任中のため、週末に帰ってくるのは月に二回。
< 145 / 168 >

この作品をシェア

pagetop