はずむ恋~見つめて、触れて、ときめく~
「ああ。玲司から横川さんのことを聞いて、人事部長と営業部長に聞いた。とても優秀で、細やかな気配りも出来、信頼出来る人だと」


藤島さんは社長の言葉を聞いて、大きく頷く。


「多分玲司はもっといろんな横川さんを見て、好きになったと思います。お互い想い合ってるのを裂くのは苦労させるよりもかわいそうじゃないでしょうか?」

私たちはお母さんからに注目した。社長と藤島さんを見てから、私と玲司さんを見る。何を言われるのかと不安ではあるが、目は離せない。

ずっと硬い表情だったが、力を抜けたかのように柔らかな表情になった。


「分かりました。ふたりでがんばると言うなら、がんばりなさい。玲司、横川さんを守りなさいよ」

「もちろん。一生守るから。母さん、ありがとうございます」

「あ、ありがとうございます!」


玲司さんと私は共に頭を下げた。手ごわい人だと思っていたが、本当は優しい人だ。

玲司さんを優しい人に育てたのは他の誰でもなく、このお母さんだとしみじみ思った。


「まさか藤島さんか来るとは思いませんでした」

「俺もだよ。昔からおせっかいだったけど、今回は助かったね」
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