はずむ恋~見つめて、触れて、ときめく~
彼は私よりも大人で頼りになる人だけど、時々かわいいと思う部分がある。今も照れた顔で呟いたから。

でも、玲司さんもかわいいと言ったら、不機嫌になるかもしれないから言わない。

鑑賞した映画はサスペンスものでスリルがあって、ドキドキした。ところどころ心臓に悪い部分もあって、つい玲司さんの腕を掴んでしまった。

玲司さんはそんな私の肩をそっと抱いてくれた。彼に触れられるだけで、安心できた。


「ちょっと怖いとこあって、藍果ビクッとしたよね」

「はい、ごめんなさい、つい怖くて……」

「全然謝ることじゃないよ。怖がる藍果、かわいかった」


失態を見せてしまったと私は首を下げたが、玲司さんは覗き込むように見て、サッと頬にキスをした、

まさか、こんなところで?

映画館を出たところでするなんて……私は誰かに見られているのではないから、周囲をキョロキョロと見る。


「大丈夫だよ。そんなに人のことなんて見てないから。でもさ、濃厚なキスしてたら、見るかもね。してみる?」

「は? いえ、してみませんから」


何を言い出すのだか。人に見せびらかすものではない。


「じゃあ家帰ったら、藍果からしてね」
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