はずむ恋~見つめて、触れて、ときめく~
「このあとは別室でオリエンテーションを行います」


記念撮影を終えて役員が退席した後、人事部の教育担当者が別室への移動を促す。


「横川さん」

「はい?」

「横川さんも東京配属ですよね? 私も東京で仲村彩音(なかむらあやね)といいます。よろしくね」

「同じ東京なんですね。こちらこそよろしくね」


背後からカツカツと聞こえてきた足音が私の隣で止まった。彩音ははっきりとした二重に黒々とした大きな瞳が特徴的で、どことなく南国の雰囲気を漂わせている。

大会議室に移動して、席は自由だったから私は彩音と並んで座った。

オリエンテーションが始まるまで15分間の休憩が設けられる。


「仲村さん、出身はどこ?」

「沖縄なの」

「あー、やっぱり!」

「えっ、沖縄っぽく見える?」


大きな瞳を丸くする彩音に私はうんうんと頷いた。最初に感じた印象と健康的な肌色で、見るからに明るい性格と思える特徴も含めての沖縄っぽさを私が伝えると彩音は照れるように笑った。


「沖縄以外の人にはばれてしまうんだね。旅行でこっちに来たときも沖縄の人?と聞かれたことがあったし。横川さんは東京の人?」
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