はずむ恋~見つめて、触れて、ときめく~
「いえ、そんなつもりはなくただ休もうとしているだけです」


ただ時間があるからと寄っただけなのに、感心されてしまって恐縮し、肩をすくめた。


「休むなら、ここでなくて他に行く人のほうが多いわよ。ちょっとした心掛けがやっぱり真面目な証拠ね。横川さんはとても真面目で気持ちの良い子だと支配人も話していたもの」

「え、支配人も?」


まさか自分が話の話題に出るなんて思いもしてなく、目を丸くさせた。

藤島さんはにっこりと微笑んで、頷く。


「一見クールな感じがするから、感情を表に出すのが苦手かなと思ったけど、しっかりとお客様を見て、出来るだけ寄り添おうという姿勢に真面目な人柄が表れていて、好感が持てるって」

「そんなふうに見ていただいていたなんて……無我夢中でやっていたので、嬉しいです」

「玲司……あ、支配人の人を見る目は確かだから、私も横川さんのこれからに期待してます。がんばってね」


咄嗟に言いかえたけど、支配人を名前で呼んだのを聞き逃さなかった。ふたりは付き合っているのかもしれない。
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