はずむ恋~見つめて、触れて、ときめく~
食材に関してはレストラン担当社員が決めているのかと思っていたから、支配人が決めていることに驚いた。


「うん。お客様がうちのホテルを利用して良かったといい思い出になるには、料理も重要なポイントになるからね」

「そうですね。お料理が美味しいと印象に残りますものね」


その後も食べながら、私は感じたことを簡単ではあるが、支配人に伝えた。

支配人は食材ひとつひとつにこだわりを見せて、産地はどこだとか他では出していない希少なのを出してもらうよう交渉した時のこととかを真剣に話してくれた。

こだわりを持つことで、どこにもある、どこのでも変わらないと思わせないようにしているそうだ。

なるほどと深く頷いた。


「デザートお持ちしますね。コーヒーには砂糖とミルク入れますか?」

「ああ、ありがとう。なにも入れないで」

「はい、分かりました」


この部屋にはミニキッチンがあり、そこに他の客室よりも大きい冷蔵庫が置かれている。デザートはプレートにドームカバーをした状態で入っていた。

コーヒーはポットに入れて持ってきてくれていたので、カップに注ぐ。
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