はずむ恋~見つめて、触れて、ときめく~
「なんか誤解させる言い方をしちゃったかな。でも、ルームサービスでの料理も初めて食べるよね? 率直な感想、聞かせて」

「誤解? あ、いえ。はい、いただきます」


深く考えるのはやめておいて、今は食事のためにこの部屋を使っていることだけを考えて、まずは初めて食べる料理を味わう。

レストランでの食事だと前菜から順に出されるが、ルームサービスだと最初から全部並べられている。

プライベートな空間での食事は誰にも妨げられることはない。デザートだけ先ほど冷蔵庫に入れてくれていた。

冷えている方がより美味しく食べれるという心遣い。さすがスイートルームはいろいろと扱いが違うと考えさせられる。

プライベートでこういう部屋を使う機会はもう二度とないだろう。今もプライベートなのか仕事なのかは分かりかねるが、お互い業務を終えてからの食事だから、プライベートに近い。

そう考えるとかなり贅沢な食事になる。


「あ、美味しいです」

「うん、美味しいね。食材には産地からこだわっいて、たまにシェフと一緒に仕入れに行くんだよね。これも去年、あちこち歩いて出会えたもののひとつ」

「支配人が自ら行かれたのですか?」
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