俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」
「臨月ですし、何があるかわかりませんわよ。私もメルを生んだ時、予定日より早くなりましたもの」

「早く帰ってあげた方がいいデスヨ!」

シンファさんも言い出した。助産師が言うということは、やはり帰った方がいいのだろうか。今日はクリスタルに「大丈夫!」と言われたから来たのだが……。

しかし、クリスタルが心配になってきた。初めての妊娠でクリスタルも不安だろう。俺も子どもの誕生を見たい。

「…そうだな。すまないが、帰らせてもらう」

「お子さんが生まれるの、楽しみにしていますね」

小町に言われ、頰を緩ませながら帰ろうとした刹那、「リ、リーバス〜…」という聞き慣れた声とともに、会議室の扉がゆっくりと開いた。

「クリスタル!!」

俺だけでなく、アレックスたちも驚いている。

「なぜここに……」

戸惑う俺にクリスタルは、ゆっくりと息を吐きながら「忘れ物…」と言って資料を俺に渡す。

何か様子が変だ。

「お腹、痛んでいまスカ?」
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