俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」
シンファさんが真剣な表情になって、クリスタルに訊ねる。

クリスタルは縦に頷く。まだ予定日より三日もあるのに、陣痛が来てしまったのか!!

「ええ〜!!ど、どうしよう!」

慌てるアレックスに、「落ち着いてください!」と小町とフローレンス、そしてリーが言った。

「……痛い……痛いよぉ〜!!」

クリスタルの手を俺は強く握る。シンファさんが「目隠しの布を持ってきてくだサイ!」とテキパキと指示を出した。

「あっ!」

クリスタルが叫ぶ。水が、床をぬらしていた。破水だ。

「痛った〜い!!」

クリスタルが何度も叫ぶ。俺は「クリスタル、大丈夫!大丈夫だ!」と励まし、シンファさんはクリスタルの履いているズボンを脱がす。

しばらくすると、シンファさんが「頭!頭出てきマシタ!!もうちょっとデスヨ!」と言った。もうすぐで、赤ちゃんに会える!!

まるで、ラッパのような大きくてそれでいて感動的な音が会議室に響いた。小さな命が、初めて自分の口で息をしたのだ。
< 143 / 160 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop