俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」
目の奥がだんだんと熱くなってくる。今にもあふれ出してしまいそうな感情を、さっきまで一生懸命堪えていた。

目の前がぼやける。ベルの顔も、見慣れた床も、一瞬で見えなくなった。

「……ッ!……ッ!」

本当は、もっと大声で泣きたい。叫びたい。でも近所迷惑になるからだめだ。

クリスタルを失ったら、俺はどうすればいいのだろうか。俺たちの関係は、もう終わってしまったのだろうか。

口に出すことのできない疑問が浮かんでいく。嫌だ。クリスタルともう一緒にいられないなんて…。絶対に嫌だ…!

俺はずっと泣き続けた。その間、ベルは一度も俺から離れることはなかった。



私はひたすら走り、もうすぐ発車する列車に乗った。行き先は考えてないし、これからどうするかもわからない。ただ、この場所から一刻も早く離れたかった。

この列車はどこに行くんだろう…。個室に入って初めて切符を見る。行き先はドリス国の東にある田舎だった。

列車が目的地に向けて走り出す。私はホッとして、夜の景色を窓からぼんやりと眺めていることにした。

故郷であるタンバリー国には帰れない。帰れたとしても帰りたくない。リリーを頼ろうかと思ったけど、「何があってもリーバスを信じて」というリリーの言葉を信じられなかったのだから、合わせる顔がない。
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