俺の恋人曰く、幸せな家庭は優しさと思いやりでできている「下」
空き家は想像していたよりもきれい。誰かが管理してくれているみたいだし、ちゃんと話さないとね…。

空き家の中にはたくさんの家具が置かれたまま。クローゼットの中には着替えが入っていた。貴族が着るようなドレスなどではなく、民が着ている服。

私は迷わずに自分の着ている服を脱ぐ。私の体に合うか心配だったけど、サイズは不思議とぴったりだった。まるで、私のために神様が用意してくれたみたい…。

鏡を見た時、私の首にキラリと輝くものがあるのに気づく。それは、リーバスからもらった星をモチーフにしたネックレスだった。その刹那に胸が痛む。

「……もう、戻れないんだから……」

震える指で外そうとして、その手は宙で止まる。目から大粒の涙がこぼれた。

「……外せるわけないッ!」

リーバスの思い出が、私をずっと縛り付けている。そう思った。



朝目を覚ますと、ベッドの中が広く感じた。そして寒い。

「……クリスタル……」

いつも隣で幸せそうに眠っていたクリスタルは、いない。一人だとわかっているのにクリスタルの場所を作ってしまうのだ。クリスタルがいつ戻ってきてもいいように…。目を覚ましたら隣で笑ってくれるように…。
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