甘い魔法をあなたに
「あのさ、モニカ。良い機会が出来たから言っておく……モニカなんて友達じゃない。モニカなんて大っ嫌い!!」

突然、ミレイユの口から放たれた言葉。私は、それに驚きを隠せずに戸惑っていた。

「ずっと言おうって思っていた。でも、この機会に言っておくよ…モニカと初めて話した時から、私はモニカを友達だ、とは思っていなかった…だから、もう私に話しかけないで。うっとうしいから……あ、さっき良い機会って言ったのはね…」

ミレイユは、口で弧を描くと「モニカのとっても傷つく顔が見れるかなと思ったからだよ!」と続けた。

ミレイユは、笑いながらその場を去っていく。私は、呆然とその場に立ち尽くしていた。

「……友達じゃ…ない?」

ミレイユの『友達じゃない』という言葉だけが私の頭を駆け巡った。心臓が嫌な音を立てている。

……ミレイユを信じて話した私がバカだった。やっぱり、人なんて信じるものじゃないんだ…。

「モニカ……モニカ…!」

私はハッと顔を上げてみると、ルカが心配そうな顔で私を見ていた、

「ルカ…?どうして…」

「ごめんね?俺、モニカとミレイユちゃんの話をたまたま聞いてしまって…」

「……ルカも…裏切るんでしょ?」

私は、涙がたまった目でルカを見た。ルカは、悲しそうに目を伏せる。

「俺は、裏切らないよ…」

そう言ってルカは、私に優しく微笑む。私が、ルカを本気で信じて良いと強く確信した瞬間だった。
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