あかいろのしずく

「本当に何もないの? 他に」

「どうでしょうね」

「なによ、意味わかんない」

「......」


廊下に出ると、冷たい空気が肌を撫でます。
余裕のある純の笑い交じりの声は、いつしか縋るような声に変わっていきました。




「焦ってもいいんだよ。クリスマスになにされるか分かんないんだよ、わたし」

「......」

「今月はないんでしょ。もう一月まで会う機会ないんでしょ?」




カチャン、と鍵が閉まりました。
僕は振り返ってみます。純はコートを着てマフラーを首に巻いて立っていました。


一緒にいたのはほんの数十分だけでした。

でも時間が経つのは早くて、純が来た時には橙色だった窓の外は世界が変わったように真っ暗でした。
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