あかいろのしずく
周りからしたら笑顔でそんなことを言うのですから、当然酷い奴だと思われるでしょう。
けれど今までのことを知っていたからこそ、僕はその意味が分かっていました。
コーヒーを持っていた手の力が抜けかけてコップを落としそうになり、僕は口からストローを外して、それを机にゆっくりと置くのです。
何も言えない時間に、周りの人たちの話し声が流れてきました。
窓の外に広がる灰色の雲が、一瞬でどこかに消え去ってしまえばいいのにと思いました。
きっと誰も、このことを祝福なんてしてくれないけれど、それでもいいのでしょう。
純は自分の幸せがこうだと知っていた。
諦めなければ叶う願いだった。
ミナトのことを知ってから、ここに至るまで、本当に長い一年だったと思いました。
それでしばらくしてやっと、僕は一言発することができたのです。
「ありがとう」