あかいろのしずく













サユリさんの問いかけに、アズマは答えなかった。
ただ黙って、サユリさんの方を向いていたのだ。



「おい、なんとか言えよ」

「あの先生の仲間とか言わないわよね?」



そのうちショウトとサユリさんに責められるようになり、私は「ちょっと待って」と止めに入る。


二人とアズマの間に出した手のひらでストップをかけると、二人は何も言わなくなり、三人の視線が同時にこちらに集まった。


それは私の話を聞いてほしいとか、仲介のためではなく、私も先ほど気づいた、耳をすませば聞こえるある電子音のためだった。
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