あかいろのしずく
それはドアの向こうから聞こえてきていた。


二人も私が作った沈黙に最初はなんなんだと不満そうな顔をしていたが、それが聞こえたのか、「なんだあれ」「音楽ね」と考えるのをやめてくれた。


再び部屋の中に静寂が戻ってきたのは電話が切れた後だった。私はすぐに二人に向かって説明する。



「電話がかかってきているのに出ないのはおかしいんです。警察じゃないのは確かなんですから、誘拐したことをバレたくないのなら、誰にでも普段通りに振るまうはず」


「どうして警察じゃないって断定できるの?」



そう。これには訳がある。
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