あかいろのしずく
そして私達は車に乗せられて二十分ほどでここに来たから、この家を出て歩いて町へ向かうとしても一時間か、それ以上はかかるらしい。
でも、そういった情報を得てもなお、疑問は残ったままで。
「どうして先生はここを離れたの?」
「それはな」
サユリさんの核心を突く質問。そう、私達を誘拐したのに先生が離れる意味はまだ分かっていなかった。
それに、アズマは迷うこともなく答える。
「電話しているのを聞いた。十時からだ。例の女の葬儀がある。あいつはそのために、もう一度町へ戻った」
もうきっと、このチャンスを逃せば後はない。
四人とも考えることは同じだった。