あかいろのしずく
私は二人が部屋から出るのを見届けると、アズマの方へ振り返る。



「変わってもらえないかな?」



両手を合わせて頼むと、案の定アズマは「あ?」と納得がいかない顔をした。その威圧感というのは凄まじいもので、今すぐにでも逃げたくなる。

それでも折れずに、



「ちょっと、まだ、落ち着かないので。休みたいなと」




ゆっくり丁寧に説明する。

これでも駄目だったら諦めようと、心臓をドキドキさせながら沈黙に耐える。アズマはじっと、私を見て何かを考えているようだった。


しばらくして。



「......分かった」




アズマがボソッと呟くようにそう言ったのを、私はちゃんと聞いていた。
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