あかいろのしずく

会話もなく沈黙が辛かったので、とりあえず食べ物をサキに勧めた。今までの反応からなんとなく推測はできたけど、もちろん何も応えてはくれなかった。


一人きりになった気分だった。



お腹が空いたのでおにぎりを食べた。水も飲んだ。

そうして時計の秒針の音と自分の咀嚼音と、サキの口からこぼれる言葉たちと共に静かなひと時を過ごしていた。


何もすることが無くなって、サキに話しかけようとして止めて。自分がしていることが休憩でありながら現実逃避でもあることは承知の上だった。


再び現実に引き戻されたのは、ドアの向こう側からサユリさん達の声が聞こえた時。
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