あかいろのしずく
「ナナカちゃんは? その服、どこか出かける予定だったの?」
反対に聞かれて私はぎくっとする。
いや......私、実は記憶ないんだけれども。
「催眠にかかってる間に選んだんですかね、ははは......」
「そうなの?」
サユリさんはくすくすと笑う。
途端に服装なんて関係なく滲み出る大人の雰囲気。落ち着きもある。そして可愛い。
女の勘だけど、男子にはモテモテなんじゃないだろうかと思う。
ああ、でも、サユリさんは三年生だから、もうすぐ卒業してしまうのか。
......。ん? あれ??
「サユリさん、大学受験って」
すっかり忘れていたけれど、大学の入試って今ぐらいの時期じゃなかったっけ!?