あかいろのしずく
それから少し仮眠を取って、俺は準備を始めた。



藤谷が何故か持っていた護身用のナイフを持って、ジャンパーを羽織る。ペンダントを隠すように前のチャックをしめて、部屋の中を見る。

ここでの生活は、現実から切り離されたみたいに穏やかなものだった。できればずっとこのままでいたいとか思ったり、一度弱気になって諦めかけたり、色んなことがあったけど、でも、ここまで来たんだ。


もう日はまたいでいる。そしてようやくショウトとの約束を果たす。


この診療所に来て六日目。
誘拐されて十日目。



ドアを開けると、止みかけの雪と呑み込まれそうな闇が広がっていた。
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