あかいろのしずく





――――どうして、こんなことになったんだっけ。




動かない足。燃え盛る激しい炎。熱い。痛い。皮膚が溶けそうだ。


建物は何処も彼処も炎で埋め尽くされている。ねじって切れたり歪んだり、そのゆらゆらと揺れる赤の形ははっきりとしない。輪郭もぼやけている。海藻が燃えているようだ。


立ち込める黒煙。雪が溶けて水になって建物全体にしみ込んでいるせいで、炎の勢いが弱まらない。いつか建物が半壊して火が外の雪にまで達して、朝が来て日の出になれば終わりだ。

建物は爆発して俺は粉々になるだろう。
これこそ西平の言っていた心中だ。もう、俺は死ぬしかないのか?






どうして、こんなことになった?

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